全国で538自治体が決議。家族専従者の働き分を認めない「所得税法56条」は廃止を
2020.03.03
中小業者に重税となる税制の仕組みの一つに「所得税法第56条」があります。これは、生計を一にする個人事業主と家族専従者の働き分を税法上、必要経費として認めず事業主本人の所得にする法律です。また所得税法57条では、青色申告の「特典」として、税務署長への「届出」と「承認」の下で、家族専従者の給与を必要経費に算入することが認められています。(取り消されることがあります)
このように一人の人間の労働が、申告の仕方や課税する側の「承認」によって、認められたり、認められなかったりするのは差別的であり人権侵害と言わざるを得ません。
現在、白色専従者控除は配偶者が86万円、その他家族は50万円までしか認められていません。
年間86万円を時給に換算すると(1日8時間、週5日勤務として)、約448円で、大阪の最低賃金964円をはるかに下回っています。
民商は所得税法56条の廃止を求める自治体の意見書採択の運動に取り組んでおり、2020年3月1日現在、538自治体になりました。高知県では県内すべての自治体(35市町村)で意見書が採択され、政令市の広島市では自民党も紹介議員になるなど、党派・会派を超えて賛同が広がっています。
大阪でも56条廃止の意見書採択を求める運動に取り組んでいます。
富田林では先月、各会派をまわって56条の意見書採択の申し入れを行いました。和やかに懇談ができ「紹介議員になります」とその場で引き受けてくれる女性の議員さんや、「勉強します」と全国の状況を調べて懇談に応じた新人議員もいました。3月11日には56条廃止の請願が「総務文教委員会」で審議される予定です。枚方市でも会派要請の中で資料や「所得税法56条を知っていますか?」というアンケートを議員に渡し、問題を少しでも知ってもらおうと働きかけています。
家業をともに担っている妻や家族専従者は夫(事業主)の付属物ではなく、1人ひとり名前があり人格を持った人間として商売に関わって生きています。夫に無償で貢献しているわけではありません。
国連の女性差別撤廃委員会も「女性の自立を妨げている」として56条の見直しを政府に勧告しています。
日本はジェンダーギャップ指数が世界153カ国中、121位と過去最悪で男女平等が著しく遅れています。
明治時代の家父長制度をひきずる56条は廃止し、多様な働き方を尊重して一人一人の働き分を認める税制に変えていく時ではないでしょうか