2024.03.01
多くの中小業者や国民の声を押し切って強行されたインボイス制度…。民商では中小業者・フリーランスにどのような影響が出ているのか掴もうと、実態アンケートに取り組んでいます(アンケートはこちら)。今回は2月2日までに集まった1125人分の集約結果について特徴を報告します。
▼インボイス制度影響調査アンケート集約結果(中間報告)
・期 間:2023年12月1日~2024年2月2日
・回答数:1125者
Q登録したことで、何か大変だった・困ったと思うことはありますか?(複数回答あり)
➡「消費税の負担」「制度が複雑」「事務作業・費用の負担」の三重苦で苦しんでいることが明らかに
「消費税の負担」と回答した27.8%(284者)の内、97.5%は免税業者だった登録者です。新たな消費税納税が、事業継続への大きな痛手なることが分かります。
これまで消費税を申告してきた課税業者でも、「制度が複雑」との回答が最も多くなっています(26.9%・95者・)。消費税に慣れている業者から見てもインボイス制度が複雑であり、業者全体でみると理解が進んでいないと考えられます。
「その他」項目では、「請求書や見積書の書きかえ」「事務作業」など、日々扱う書類の様式や内容の確認に苦労していることがわかりました。また「税理士費用」との回答もあり、事業者にとっては手間やコストだけが増えている実態がうかがえます。
Q登録した方は、取引している免税業者にも登録を求めましたか?
➡「取引先に登録を言えない」が最多。「廃業」の声も。
「取引先の負担になるので言えない」が11.9%(78者)、「言うかどうか決めていない」が25.3%(165者)となり、インボイス制度による負担への対応に多くの業者が苦慮しています。「2割特例などを使うので、言っていない」は7.5%(49者)でした。「その他」項目では、「簡易課税なので不要」「簡易課税に変更する」「2割特例が終わったら考える」など、取引先に負担を与えないように努力している業者が多くなっています。自由記述欄には「これを機に廃業」の声も。
一方で、仕入先や外注先など発注先へ「登録するように言った」12.4%(81者)と、下請けや発注先へ登録要求が連鎖している側面もあります。
Q登録した方は、消費税の負担が増えますが、どうしようと考えていますか?
➡転嫁できず身銭をきるか、下請け・消費者に支払わせるか…苦渋の二択
「自分の利益や貯金を削る」が40.3%(268者)と最も多くなりました。登録した業者の約半数が結局は身銭を切らざるを得ないと回答しています。「値上げする・取引先に負担を求める」ことが困難であり、かつ「免税業者になる」こともできないため、仕方なく選択しているものと考えられます。
「その他」項目では「どうしていいか分からない」「まだわからない」など、対応を検討している回答が多く、ここにも業者の苦悩が表れています。
注目したいのは「廃業する・廃業を検討している」が5.4%(36者)と、実施から半年と経たず、インボイスを理由に廃業を決めた業者がいることです。これから確定申告を経て、多くの業者が消費税申告・納税の負担を実感することで、業者の廃業が一層すすむと懸念されます。
Q国や自治体に求めることは?(自由記述)
「インボイス登録で負担増だが、どうしようもなく泣き寝入り」(サービス/30代)
「年齢からも廃業も意識。もうしばらく維持したいので消費税減税インボイス廃止を要望します」 (製造/60代)
「インボイス廃止!働きやすい建設業にしてほしい」(建設/40代)
「国も自治体も、もっともっと底辺の事を深刻に考えてほしい。月15万で生活できるか体験してほしい」(運 送/60代)
「国会議員は領収書なしでも認められるのに、なんで我々はきっちり揃えんと認められんのや」(料飲)
「全てが物価高騰で、人件費・日当に跳ね返る。府や市の仕事も競争で儲けなし。賃上げなど、テレビの ニュースで見るが『はぁ?』という感じ」(建設)
「経費もかかるしガソリン代も高く儲けも少なく利益がありません」(卸小売/50代)
・・・など
民商では引き続き3月末までアンケートに取り組み、自治体や議員にも示してインボイス廃止を求めていきます。みなさんもいっしょに声をあげましょう。
➡アンケート結果について詳しく知りたい方はこちら