2019.02.22
社会保険料(健康保険、厚生年金、介護保険)が「高くて払えない」「一括納付を迫られた」などの相談が民商に寄せられています。滞納を理由に、年金事務所が売掛金などの差し押さえを強行し、事業が継続できなくなる状況も広がっています。
厚生年金では、13万5300事業所が滞納で苦しみ、2万7500件(2017年度)の事業所が売掛金など財産を差し押さえられています。(下図)
Q 保険料がなんでこんなに高いの?
A 小規模事業者ほど負担が重い仕組みに
社会保険料率が大企業と中小企業で違います。大企業などが設立する健康保険組合は、保険料率が平均9.1%に対して、中小企業向け「協会けんぽ」は全国平均10%と高くなっています。
また、社会保険料には上限があり、「月給1億円の社長」と「月給61万円の町工場の社長」の社会保険料負担額は同じです。厚生年金保険料は1カ月の給料が60万5000円以上、協会けんぽは135万円5000円以上になると保険料は上がりません。収入が低いほど負担率が高く、小規模事業者にとっても重い負担になっています。
国会では、「小規模企業の社会保険料の負担軽減」が決議されています(下記)。
保険料率の引き下げや協会けんぽへの国庫補助率の見直しをすれば改善できます。
Q 社会保険料が納められない! どうしたら?
A 納税緩和制度の活用を
社会保険料は例え会社が赤字であっても支払わなければならない仕組みになっています。しかし、売り上げ減少などで社会保険料が納められなくなったとき、国税徴収法に基づいて「納付の猶予」や「換価の猶予」など“納税緩和制度”を活用することができます(表1)。
納付の猶予が認められると延滞金が年利9.0%から1.7%に引き下がり、安心して分納することができます。猶予期間1年です(最長2年)。また、すでに差し押さえを受けている財産の換価(売却)が猶予される場合もあります。
Q 分納を約束していたが一括納付を迫られた!
A 年金事務所に抗議し分納を認めさせよう
事業者が納付の誠意を示し、滞納になった保険料を約束どおりに分納しているにもかかわらず、突然、年金事務所から一括納付が迫られ、「できなければ売掛金を差し押さえる」と言われたなどの事例が寄せられています。また、納付が滞っている事業者に対して「納付しない方が悪い」「事業所がつぶれても仕方ない」「銀行から借り入れて納付しろ」など暴言を吐く職員もいます。
厚生労働省はこうした事例に対して、「年金事務所が滞納者との分納約束をやぶって、一括納付を迫ることは許されない」との考えを示しています。
民商と一緒に、理不尽な差押えから、大事な商売を守りましょう。
「社会保険料高すぎる!」「滞納で悩んでいる」方は、民商へ!