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そんな無茶な! 税務署が「確定申告の控えに来年から収受印を押しません」

2024.02.22

 国税庁はHPで「令和7年1月からの申告書等の控えへの収受日付印の押なつについて」という見解を1月6日に発表しました。「『あらゆる税務手続が税務署に行かずにできる社会』を目指し、申告手続等のオンライン化(中略)の抜本的な見直し」を進めているとのことです。申告書の正本(提出用)には押なつするものの、控えには押しません、という理解しがたい内容となっています。

 この背景には、国や地方自治体までもが一緒になって進める「DX(デジタル・トランスフォーメーション)があります。トランスフォーメーションとは「形を変える」という意味です。デジタル技術を使って、行政の形を変えてしまおうというのです。諸外国にある「納税者の権利憲章」が日本で制定されていない状況の下では、納税者の申告に関するデジタル情報が徴税強化に利用されるのではという懸念が払しょくできません。インボイスも電子化されることが考えられています。さらにマイナンバーともあわせて、税務当局が収集したデータを利用し「記入済み申告書」を提供して、「確認」させることが狙われています。これは申告納税制度の形骸化です。個人情報の漏洩にも不安が残ります。

 電子申告は、あくまで税務署からの「お願い」であり、どちらを選択するかは納税者本人が決めることです。国民は「法の下の平等」が憲法で保障されており、電子申告をしないからと言って、不利な取り扱いを受けることなど許されません。また、控えに押なつされないと、どのような事態が起こるのでしょうか。建設業の決算変更届を提出する際や保育所に子どもを入所させる際にも控えの提出を求められています。また、コロナ対策の持続化給付金の申請にも、収受印の押された確定申告書の控えが必要書類となっていました。強引な「収受印廃止」は混乱を招きかねません。加えて納税者が提出した確定申告書を税務署が紛失するという事故は散見され、その際は収受印が押された控えが「期限内に申告した」唯一の証明となります。

 各地の税務署は、民商の指摘に対して「上が決めたこと」「電子申告を」の一点張りです。

 国であれ地方であれ行政の職員は、専門的な知識と経験を持ち、その力を発揮して相談者に、場合によっては部署横断的に適切なアドバイスをすることが求められます。デジタル技術は効率化にうまく活用すればいいのですが、すべて機械任せにしていこうというのは無理があります。

 民商は納税者の権利を守って70年。電子申告ができない人を置き去りにする強引なDX推進は差し控えるべきと考えています。また、インボイス対応、消費税、記帳などのご相談もぜひ民商へ。

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