2023.11.01
全国一高い大阪の国保料
維新府政は「『高すぎる国保料』など国保の構造的問題を解決する」と言って2018年度から「国保府内統一化」を実施しました。これまで国保料や減免基準は市町村が決めていましたが、2018年度からは大阪府が府内統一の国保料や減免基準を示し、それに従うよう市町村に求めています。6年間の猶予期間を経て、2024年度からは府の示す基準に完全に統一するよう市町村に圧力をかけています。
大阪府が示す国保料(統一国保料・一人当たり平均)は、2018年度からの6年で年額12.5万円から16.2万円へと3割も上がり、全国一の高さです(中央社保協調査)。このまま「府内統一化」を進めれば、国保料の大幅連続値上げは必至です。市町村が住民と豊かに発展させてきた減免基準も廃止され、最低限の基準しか残りません。
大阪府国保課と交渉
10月23日、民商・大商連は「国保府内統一化」の中止を求め、大阪府国保課と交渉しました。
最初に、「府は『統一化で保険料が下がる』と説明していたが、実際は全国一の高さに。大阪の一人当たり医療費は全国30位なのに、なぜ国保料は全国一なのか」と質問しました。しかし、国保課は「全国一高い」との認識が乏しく、他府県と比較するなどの検証をしていないことが判明。「なぜ検証しないのか。このまま統一化を進めるなどあり得ない」と追及し、説明責任を果たすよう求めました。また、減免についても「うちの自治体には生活保護基準の1.1倍以下の人を対象にした減免があり喜ばれている。市町村の減免を潰さないでほしい」など求めました。
憲法25条(=ナショナルミニマム)を守るのは国の責任?
国保料が連続値上げとなる中、府下の市町村の国保会計には316億円もの黒字(基金)が貯め込まれています。交渉ではこれを指摘し、「黒字を使って国保料引き下げを」「まるで人頭税のような子どもの均等割を府として廃止すべき」と求めました。
しかし国保課は「国保はナショナルミニマムなので国の責任で担うべき」と繰り返すばかり。「ナショナルミニマムとは何か?」と尋ねると「憲法25条の生存権」と言うので、「そもそも生活保護基準以下の所得の世帯にも国保料を求めることはナショナルミニマムに反するのでは?ナショナルミニマムに反しない制度をつくると約束してほしい」と求めましたが、「言えない。国に求めていく」と拒否したため、会場は騒然。「公務員なのに憲法を守らないのか」と声があがりました。
国保制度のためなら生活を脅かす差押えも容認?
さいごに、大阪府域徴収機構による差押え事例について確認しました。「業務委託料が振り込まれた口座を2万円だけ残して差押えられ、生活できない」と民商に相談があったもので、「国保課として国保加入者の生活を脅かす徴収は行わないよう指導すべき」と求めました。
しかし、国保課は「国保制度の運営のためには納付が前提」「公平性の観点から対策を強める」などと話を逸らし、法律で定められた納税緩和制度についても理解していない様子でした。「国保は社会保障。払えない人に払えというのはおかしい」と抗議しましたが、「皆さんとは意見が違うようで…」との回答だったため会場は怒りでいっぱいに。「そんな認識なのに、府全体で徴収を進めるなどと言わないで欲しい」「市町村は住民と直接接しているので、こんな酷い回答はしない。府は国保を運営する資格がない。これまで通り市町村に任せるべき」と強く訴えました。
現在、大阪府は「府内統一化」についてのパブリックコメントを行っています(11/14〆切)。「日本一高い国保料なんてありえない」「独自減免の継続を」などの意見を送り、「府内統一化」ストップの世論を大きくしましょう。
➡大阪府のパブリックコメントについてはこちら