2018.02.26
大阪府による国保改悪が今年4月から始まろうとしています。
大商連をはじめ多くの団体が、この計画では国保料が大幅値上げになることや取り立てが厳しくなることを指摘して撤回を求めていましたが、1月に大阪府が統一保険料率を発表したことで、その傾向はより明確になりました。
関連リンク 1/22 大阪府が統一保険料を発表 「国保料の統一化」に市町村からも異論
大阪府は、統一化すれば1人当たりの保険料は府内平均で297円下がるとしていますが、これは市町村独自の繰り入れを除いた上での架空の数字でしかありません。各市町村の繰り入れを加味した数字で比較すると、統一化によって一人あたり7035円もの値上げと、今でも高い国保料がさらに上がってしまいます。
モデルケース別に国保料を計算してみると多くの自治体で所得が低い人ほど国保料が値上げになる傾向があることもわかりました。
しかも大阪府の計画は、市町村独自の繰り入れや減免制度は今後6年で廃止とすることなども盛り込まれており、府民にとっては大改悪です。
この問題について、大阪商工団体連合会(大商連)は2月9日に他団体と共同で大阪府国保課と交渉。国保料の決定権は市町村にあること、統一保険料では低所得者ほど上がることなどを指摘しました。
大阪府からの回答
・市町村の独自繰り入れは、国保加入者以外にも税負担を強いるので不適切。
・低所得者ほど高くなるのは国の制度が原因。国にさらなる財政投入を要望していく。
・大阪府として国保に財政投入をする考えはない。
・市町村から要望のあった子育て世帯への減免制度については、まだ何も検討していない。
今年4月から国保財政の責任主体となるにも関わらず、大阪府自身が国保料の太幅値上げや低所得者の負担増をもたらす制度改悪を先導していることがより鮮明になりました。
つづく2月13日には、大商連と他団体でつくっている大阪市の国保をよくする実行委員会として、大阪市の保険年金課と交渉。大阪府の統一保険料に合わせると低所得者や子育て世帯を中心に国保料が上がることや、大阪市が独自繰り入れを来年度は今年度の半分に減らすことなどについて、指摘しました。
大阪市の回答
・低所得者や子育て世帯で値上げとなるのは国と府の制度が変わるため。国保料が大きく上がらないように、国と府に対してさらなる財政投入を要望している。
・府内どこでも窓口の医療費負担は同じなので、国保料も統一しないと不公平だ。
・国保と協会けんぽや組合健保などの間には保険料負担など大きな格差がある。解消にはすべての医療保険の統一が必要。今回の改革がそのためのステップだ。
・今後の国保料を抑えるために健診に力を入れていきたい。だが、今は実績がないので、すぐに予算を増やすつもりはない。
交渉の結果、大阪市では国保を統一化すること自体が目的となっていることが明確になりました。制度をどうするかという議論に終始し、高すぎる国保料の問題をどのように解決するかという、住民の生活実態に寄り添った意見は全く出てきませんでした。
こうした状況にあきらめることなく民商では引き続き、「統一化」の中止、払える国保料の実現を求めて、署名活動や議員・各会派への申し入れ、自治体との交渉など、他団体と共同で運動を進めていきます。
また、高すぎて払えない国保料について集団で減免や各種猶予の申請なども取り組んでいます。
高すぎる国保料、不当な取り立ての相談は民商へ。