2017.08.02
大阪商工団体連合会(大商連)や他の団体でつくる大阪市の国保よくする実行委員会は、7月24日に大阪市の福祉局保険年金課と交渉を行いました。「府内統一化への反対」「国保料の引き下げ」「強権的な徴収の中止」をもとめて、22行政区から77人が参加しました。
最初に、大阪府が2018年4月からの実施を進めている国保の「府内統一化」についてやりとりしました。
2018年4月から国保の都道府県化が実施され、今まで市町村で管理してきた国保財政が都道府県に移されます。大阪府はこれに便乗し、これまで市町村ごとに決めていた国保料の「府内統一化」を推し進めています。これは市町村が独自に保険料緩和のために行っていた減免制度や一般会計からの繰入金の廃止を前提としているため、府の試算結果では多くの市町村で国保料がさらに高くなるなど、市民にとって全くメリットがないことが明らかになっています。
参考①:大阪府の国保料「統一化」は、いったい誰のための統一化か?!
詳しくはこちら→http://daishoren.org/topics/news/781.html
国保よくする会は、これらの点や、そもそも国保料が協会けんぽ(中小企業の労働者が加入)や共済組合(公務員が加入)などの、他の医療保険よりも高いという問題点を挙げて、大阪市として「府内統一化」に反対することを求めました。
大阪市は「国保の保険料負担は重い」ことについては認めつつも、統一保険料の試算に対しては「国からの追加公費を考慮せずに計算しているので、今の時点では答えられない」と明言を避けました。
統一化へ賛成する理由については、「府内どこに住んでも医療機関での窓口負担は同じなのに、市町村ごとに国保料がちがうのは不公平だ」などと、大阪府と全く同じ理屈で正当化。
結局、「大阪府に対してできるだけ保険料が引き下げられるよう要望している」、「他の保険と負担の公平性を図るため、医療保険制度の一本化を国に要望している」などの言い訳に終始し、「府内統一化」ありきの姿勢を崩しませんでした。
続いて、今年度の国保料2%の引き上げの問題について追及しました。
大阪市の国保会計は、実は2008年度から2016年度までの8年間で累計308億円の黒字があり、2016年度だけでも58億円の黒字を出しています。
にもかかわらず大阪市は国保料を下げるどころか、2012年から2016年までで合計5%、2017年度も含めると合計7%もの引き上げを強行してきました。
また大阪市は引き上げの根拠として、4人世帯・所得300万円(年収443万円)の場合の保険料負担が大阪府内の平均よりも0.2%安いことを持ち出し、全体で2%の引き上げを正当化しています。
しかし、4人世帯所得300万円の層は大阪市の国保加入世帯のわずか0.6%に過ぎないため、この層の国保料の負担が府内の平均よりも安いといっても引き上げの根拠にはなりえません。
参考②:大阪市の国保料が値上げに!
詳しくはこちら→http://daishoren.org/topics/insurance/424.html
こういった点を追及していった結果、大阪市は「すでに多額の法定外繰入れをしているので削減したい」と本音を漏らし、今まで大阪市が展開してきた国保料引き上げの理屈は、まさに引き上げのための理屈でしかないことが明らかになりました。
徴収の問題では、不当な事例を出して追及。
「パートの給与が振り込まれた口座を全額差し押さえられた。これでは生活できない」
「払えなくて役所に相談に行ったら、滞納分を一括で払わなければ学資保険を差し押さえると言われた。子どもの学ぶ権利を奪うつもりか」
「破産手続きをしたのに、国保料の督促が送られてきた」など、
加入者の人権を踏みにじる行政の違法行為を告発。こうした行為を直ちにやめさせ、加入者の実情を踏まえた対応をするように改善を要求しました。
大阪市の国保よくする会では引き続き、秋の市会に向けて「府内統一化の中止」「国保料の引き下げ」「強権的な徴収の中止」を求める請願署名や、街頭での宣伝行動などに取り組みます。今でも異常な高さの国保を、「統一化」でさらに改悪させるわけにはいきません。大阪市民の命と健康、営業と暮らしを守るための国保制度を実現するために力を合わせましょう。
また、民商では高すぎる国保料の減免・分納申請にも取り組んでいます。
「国保料が高すぎる」「払えなくて滞納になった」「差押え通知がきた」などお困りの方は民商へ。
要望書はこちら → 大阪市への要望書
請願署名はこちら → 大阪市への請願署名